不妊治療はなぜ辛い?ひとりで背負い過ぎないために、わたしがやった心の整理法

メンタルケア
Photo by まつなが ひでとし(photoAC)
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不妊治療はなぜ辛いのか

不妊治療には3つの辛さがあるといわれます。

それは「1.精神的な辛さ」「2.肉体的な辛さ」「3.経済的な辛さ」です。

精神的な辛さ

何より本人を苦しめるのはこれではないでしょうか。

「結婚したら、〇歳位には子どもを産んで…」と漠然と描いていた未来が、
「どうやら簡単に叶いそうにない…」と気づいたときの大きな不安と動揺。

周囲からの何気ない「子どもまだ?」に傷つき、
帰省すれば、ひしひしと感じる親からの無言のプレッシャー。

「いったいどれだけ待てば授かるのか」という先の見えない不安。
周囲の妊娠・出産報告への嫉妬心と、そんな自分への罪悪感。

「これを食べたら妊娠によくないかも…」
「治療中は飲み会は我慢…」
あらゆることを妊娠と結び付けてしまう日々。

こうやって頑張っているのに、今月も、またやってきた生理。

・・・・撃沈。

辛さを旦那に訴えてみても、
「あれ?なんか全然、温度感が違う…?」

友人に気軽に相談できる内容でもないし…。

残されたのは、いつのまにか孤独な自分。

「子どもがほしいのに、思うように授からない」
このひとつのことが、たくさんに苦しみ、悲しみ、不安を引き寄せます。

経済的な辛さ

保険のきかない不妊治療は費用も高額です。
人工授精なら1回数万円、体外受精、顕微授精なら1回数十万円。
治療をやめない限り、金額はどんどん膨らんでいきます。

わたしの場合、人工授精数回、採卵4回、体外受精2回、顕微授精8回でざっくりと400万くらい使ったと思います。

自然妊娠しにくいことが判明した、わたしたち夫婦にとっては、お金をかけることで授かるチャンスがあるということは「救い」でした。
だから「治療で妊娠できるのなら…」と治療を続けましたが、楽な出費だったわけではありません(これだけのお金をほかのことに使えたら…と思ったことも…)。

わたしの給料を治療費にあてていましたが、「働いた分が、そのまま治療費に消えていく…」という感じ。

しかも、治療のために思いっきり働くこともできず、治療をやめるまでは思ったように貯金できませんでした。

かけたお金の分だけの見返りが、必ずしもあるわけではないのが不妊治療の辛いところです。

肉体的な辛さ

肉体的な辛さにはいろいろな側面があると思います。

わたし自身は、検査や治療で特別痛い思いをした記憶がないのですが、かなり個人差があるみたいです。内診に痛みを伴う場合は、毎回の通院も辛いものになってしまいます。

体外受精や顕微授精となると採卵が必要で、全身麻酔で卵巣に針を刺して成熟した卵子をいくつも採取するという作業を行います。体に負担がかからないわけはありません。

通院の多さも辛いところ。
仕事との両立は、精神面だけでなく肉体的にもハードです。

そのほか基礎体温をはかったり、薬を飲んだりという日常的なことも地味にストレスを感じます。

何より、赤ちゃんを授かるという本来なら自然な営みが、いろいろな面で管理され、ときには義務になってしまうところが最大の辛いポイントかもしれません。

不妊治療の3つの辛さについてまとめてみました。
こういったいくつもの辛さが、治療が長引けば長引くほど積もり積もっていくのが不妊治療。
「不妊治療は出口のないトンネル」といわれるのはそのためです。

一人で背負いすぎないために、心の役割分担をする

3つの辛さのうち、どれがいちばん辛いかは人によって異なると思います。

しかし、そのなかで、自分の心の持ち方で、いちばん軽減できそうなのが精神的な辛さでもあります。

うまく気分転換しながら治療を続けられればベストなのですが、気が付けば毎日毎日、妊娠のことばかり考えてしまい、「授からない自分」に気持ちがフォーカスしていって辛い気持ちを抱え込んでしまう人は多いのではないでしょうか。

そんな状態に陥ったとき、少しでも気持ちを楽にするために、わたしが取り組んだことがあります。それは、

「一人で背負いすぎないために、心の役割分担をする」

ことです。

ここでいう、「一人で背負いすぎない」は、自分の周囲の人を頼るということではありません。

もちろん、それができて楽になれば、いちばんよいのですが、前述のとおり他人には話しづらい事柄だし、人によってはパートナーとの関わりがむしろ悩みのタネだったりもしますよね。

ですので、ここでいう「一人で背負いすぎない」は、あくまでも自分の中での気持ちの処理の仕方、心の整理法の話になります。

自分の力ではどうしようもないことまで抱え込んで悩むのをやめるために、わたしはこんなふうに考えてみました。

「医療」のことはお医者さまにおまかせ
「授かるかどうか」は神さまにおまかせ
「不安定なわたしの心」は仏さまにお預け
わたしがやることは「体を整えること」「明るく過ごすこと」だけ

たとえば、
「移植はうまくいくかな」「無事着床してくれるかな」と「わたし」が心配したところで、結果が変わるわけではないですよね。

医療や技術的なことは、お医者さんを思いっきり信頼してゆだねる。
おまかせし切ってみる。
わたしは「このクリニック、先生、看護師さんたちにおまかせすれば大丈夫」と改めて思うことで、「一人じゃない」という感覚を取り戻すことができました。

そうやって心の負担をひとつ減らして、「わたし」を安心させる。

「いつになったら授かるだろう」という考えても答えのない心配事も、改めて神さまにおまかせしきる。ゆだねきる。きっといい方向へ導いてくれると信じて。

それでもまだ不安や辛さが消えないなら、そんな「不安定な心」をまるごと仏さまに預かってもらう。

そうやって余計なものは、すべて「わたし」以外のものに受け持ってもらい、心の中から不安や心配を追い出します。

不安や心配を心から追い出した「わたし」がやることは、自分の体をいたわること、毎日を明るく過ごすことだけです。 

「心」を神さま仏さまに預けるという感覚が分かりにくかったら、神棚や仏壇に手を合わせて、「しばらく預かってくださいね」と風呂敷に包んだ「心」を預けるようなイメージを描いてみるとやりやすいです。

結局は、いまに集中する作業

結局、この作業はなにをやっているかというと、いま目の前のことに自分を集中させる作業です。

「妊娠にストレスは大敵、できるだけ明るく過ごそう!」
と頭では分かっていて、できるだけそうしようと思うのですが、気付くとわたしの心には、不安や心配などネガティブな感情が戻ってきていました。

だからマイナス感情を心の中から追い出すために、「心を預かってもらう」というイメージを持ち、心の重荷をいろいろな人(ではないけど)に背負ってもらうようにしたのです。

そして、未来への憂いや過去の後悔を追い払って、いまの自分を心地よくすることに集中しようとしました。

不妊治療中は、リラックスして過ごすのが苦手になってしまう人が多いです。

ひとりで背負い過ぎず、うまく心の負担を分散できるといいですね。

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