不妊治療と仕事はどう両立する?私が試した働き方改革 ~体験記その11~

わたしの体験
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仕事と不妊治療のバランスを考える

4回目の採卵で5つの受精卵が育ち、これから約1年をかけて子宮に戻していくことになった41歳の夏。

「チャンスは5回もある。きっと妊娠できるよ…!」という淡い期待と、
「もし妊娠できなくても、これで最後になるかもしれない…」という覚悟と、
ふたつの思いが胸にありました。

とにかく後悔しないよう、できるだけのことはやりたい。

そこで思ったのが、

「…ちょっと仕事のペース落とそうかな」

ということです。

不妊治療と仕事の両立は心も体も余裕なし?

それまでは、時短勤務で17時まで働いたあと、長男を保育園まで迎えに行く生活をしていました。

診察がある日は17時ダッシュで病院に駆け込み(幸い職場と病院が近いので)、診察が終わると再びダッシュで18時までにお迎えに向かいます(間に合わないことも)。

職場には治療のことを伝えていたので遅刻や早退もできたのですが、通院の度に利用するとかなりの回数になります。

だからできるだけ「次の診察は〇時に来てください」と指定があるときのために、遅刻・早退は取っておくようにしていました。

経過観察や注射での通院など時間の指定がないときは、勤務後や昼休みを利用したほうが、職場への報告回数も少なくて済むので気持ちが楽でした。

職場の理解を得ているといっても、度々遅刻や早退をするのは気を使うし、移植日など、ずらせない通院のときに仕事の予定を融通してもらうためには、こちらの配慮も必要だと思っていたからです。

ただ、昼休みの通院は食事時間を削って通うわけだし、勤務後の通院となると「退社→診察→お迎え」はまさに分刻みのスケジュール。
「間に合わない~!」と焦る日も多くハードでした。

結局、働いていれば「仕事より治療を優先する」というのは、なかなかやりにくい。うしろめたさを感じてしまう。

でも、これからの残りの治療生活を、こんな慌ただしく過ごすのはちょっといや…、また切迫流産になる可能性だってあるし、きっと後悔する。

心身ともに、もう少しゆとりが欲しい…。

「仕事より治療を優先したい」と思いました。

働き方をシフトして、仕事より治療を優先

そこで思い切って、職場に労働契約の変更を相談してみたのです。
わたしがお願いした点は次の2つです。

  1. 1ヵ月の労働時間を「64時間以上」に減らす
  2. 在宅勤務を認めてもらう

1は「1ヵ月に最低64時間以上はたらけばOK」にしてほしいという希望です。平均すると4時間×週4日。

この時間数は私の個人的な事情によるのですが、保育園に子どもを預けるために必要な労働時間が64時間以上なのです。これ以上労働時間が減って保育園を退所することになってしまうと、近くに預けられる親族がいないので結局通院に支障がでてしまいます。

「週4日、1日4時間しか働きません」ということではなくて、最低ラインをこの時間数にしておけば、保育園のお世話になりながら病院も仕事も負担なく通えると思ったのでした。

移植日前後に仕事でバタバタしたくなかったし、仮に妊娠できたなら切迫流産も防ぎたい。不育症の病院に通うとなったら丸1日休みがほしいので、先のことも考えて極力労働時間は減らそうと思いました。何もないときは働く前提で。

2の在宅勤務は、自分の仕事のボリュームを調整するために希望したものです。
私の仕事内容は基本的には職場にいないと効率が悪いものが多いのですが、その中で自宅でもできる作業は在宅で働かせてもらおうとしました。

当然のことですが、職場にいるほうが仕事量は増えるし、突発的な依頼で帰る時間が遅くなることもあります。仕事と通院とお迎え時間の間でハラハラし、バタバタと帰り支度をして飛び出す…。その辺からくる心身の疲弊から解放されたかったのです。

要は、職場には迷惑をかけてしまいますが、いまだけはサポート側に回らせてもらおうとしたのです。
かなり思い切った条件だったと思います。
「だったら辞めたら?」と思われるかもしれません。
自分にとって都合の良い条件の打診ですが、そうしないと仕事をしながら治療を優先するなどできません。

正直なところ、受け入れてもらえなかったら休職か退職も考えようかと思っていましたが、いずれも聞き入れてもらうことができました。
アルバイト契約になるかな?とも思っていましたが、もともと契約社員だったので、契約内容をオリジナルに変更してもらうことができたのです。

給料を時給換算して働いた時間数だけ支払われるというスタイルになり、有給は一時凍結。
収入は減りますが、通院で遅刻や早退、休みを取りたいときも、有給の残数を気にする必要がなくなったので、私にとってはとても通院しやすい働き方になりました。

もめることなく承諾してもらうことができたのには、これまでの経緯もありました。

特に在宅勤務については前例もなかったのですが、わたし自身が過去の切迫流産のときに、やむを得ず自宅からメールでやりとりしたり、やりかけの仕事を自宅で片づけたりした経緯があり、その時期に前例を作ってしまっていました。

あとは、ただただ、職場の理解があったからこそです。
不妊治療については、定期面談のときに自分の状況も気持ちも伝えていました。

何度も切迫流産で休んでいたので、治療を続けるなら「辞めたほうが迷惑がかからないのでは…」と悩むこともありました。

しかし辞めたからといって妊娠できる確証もなく、治療にはお金もかかります。
何より「仕事を辞めたのに妊娠できなかった」という結末を迎えるのがいちばん恐怖でした(自分がいちばん後悔するパターンだと確信が持てました)。

なので、長くてもあと1年か2年の治療期間なら、その間だけ治療を優先する状況を受け入れてほしいというのが願いでした。

それに対して職場側も、完全に辞めてしまうより、仮に一時的に休んだり離れたりしたとしてもまた復帰してくれるほうがメリットがあると捉えてくれていました。

私の職場は中規模のサービス業です。
人手不足が顕著な業界だという事情もあるし、大企業では、こんな個別的な融通は聞き入れてもらえないのかもしれません。

でも、両立に悩んだときは退職を考える前に一度、「この働き方なら両立できるかも」と思える条件を投げかけてみることで、働きながら治療を優先する状況を自分で切り開いてみることもできるかもしれません。

働き方改革の結果はどうなった?

さて、新たな労働条件でわたしの働き方はどう変わったでしょうか?

結論からいうと、うまくいったことと、うまくいかなかったことがありました。

出社した日は、だいたい6時間は働いていました。それでもいつもより1時間早く、16時に仕事を終える生活は、時間の余裕がずいぶんと違いました。

病院にも保育園にも急いで駆け込む必要がなくなりました。
その時間的余裕は、心の余裕につながりました。

在宅勤務はというと、思ったほど活用できませんでした(笑
月に2~3日程度でしょうか。

実際に始めてみると、仕事を家に持ち帰るために特別にスケジューリングしなければならなかったり、なんだかんだ言って、職場で仕事するほうが効率がよかったり(汗

それでも通勤時間がない分、体を休めることができました。

働く時間が減った分、給料も減りましたが、その収入減を上回る見返りがわたしにはありました。

これで、心身ともに余裕をもって妊娠に臨めるはずなのですが…。

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