不妊治療費の平均金額は190万円!どうやって捻出しているの?

不妊治療

不妊治療には、どれくらいお金がかかるのでしょうか?

不妊治療の経済的負担について調査した、2つのアンケート結果をまとめてみました。

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体外受精・顕微授精にかかる費用は平均190万円以上

はじめにご紹介するのは、2017年10月にwebメディアが実施した、「妊活・不妊治療」に関するインターネット調査です。

【調査概要】
調査元:webメディア「妊活ボイス」(株式会社CURUCURU)
調査対象:10年以内に妊活経験のある20~49歳までの女性
有効回答数:300名(妊活時の平均世帯年収約500万円)
調査期間:2017年10月11日(水)~10月30日(月)
調査方法:インターネット調査

この調査では、「妊活全般にかかった費用」は平均で約35万円という結果でした。

さらに、人工授精・体外受精・顕微授精のいずれかを経験した方に限ると、平均費用は約134万円

そして高度不妊治療(体外受精、顕微授精)を経験した方に限ると、平均費用は約193万円まで上昇しました。

この中でも、300万円以上かかった方は約6人に1人(16.1%)という結果でした。

高度不妊治療の費用が安ければ、「もっと早く治療に進んだ」

アンケートでは、「高度不妊治療に進むにあたり金銭面はネックとなったか?」についても質問しています。

その結果、高度不妊治療経験者の約3人に2人(62.0%)が「ネックになった」と回答。

また、「ネックとなった」と回答した方に「料金が安かった場合、高度不妊治療に変化があったか?」と質問したところ、2人に1人(53.3%)が「もっと早く治療に進んだ」と回答。

「治療の回数が増えた」と回答した方も35.6%いました。

高額な治療費が、継続的に不妊治療を受けることを困難にしていることが推測できます。

【アンケート調査引用元】
妊活ボイス
高度不妊治療にかかる費用は平均190万円以上!~妊活・不妊治療に関するアンケート結果

体外受精・顕微授精の1回の治療費が高額化

続いてご紹介するのは、NPO法人Fine(ファイン)が2018年に実施した「不妊治療と経済的負担に関するアンケート2018」です。

不妊体験を持つセルフ・サポートグループであるFineは、同じテーマのアンケート調査を2010年、2013年にも実施していることから、経済的負担の変化にも着目しています。

【調査概要】
調査元:NPO法人Fine(ファイン)
調査期間:2018 年 9 月 18 日~2019 年1月 31 日
調査方法: WEB アンケート。自由回答を含む約 60 問
対象者:不妊治療をしたことがある人、もしくは不妊を心配したことのある人
回答数:1,576 人(うち不妊治療の経験がある人 1,497 人)

このアンケート調査によって明らかになったのは「不妊治療費の高額化」です。

「体外受精・顕微授精の1周期あたりの治療費」を尋ねたところ、体外受精の平均治療費が「50万円以上」と回答した方の割合が、2010年実施の調査と比較して約2.5倍、顕微授精では約2倍近く増加していることが分かりました。

また、こちらの調査でも不妊治療にかかった総額治療費を調査していますが、不妊治療通院開始からの費用総額のボリュームゾーンは100万~200万円でした。

さらに、2010年、2013年と比較すると、300万円以上の治療費を支払った方の割合が増加傾向にあることが分かりました。

治療年齢が高齢化すると、治療費総額も高くなる傾向に

治療費総額の増加の要因と考えられることはいくつかあります。

  1. 治療単価の高額化
  2. 患者の高齢化
  3. 治療期間の長期化

1つめは、アンケート結果にもあったようにひとつひとつの治療費が高額化している可能性。

2つめは、治療を受ける夫婦の年齢が高齢化し、治療開始から期間を置かずに高度不妊治療を受けはじめる方の割合が増加した可能性。

3つめは、治療が長期化して、治療回数が増えている可能性。

2と3は密接に関連しており、治療年齢が高くなればなるほど結果は出にくくなるため、治療回数も増える悪循環に陥ることも考えられます。

治療費はどうやって捻出している?

では、このような高額な治療費を、不妊治療経験者はどのように準備しているのでしょうか?

NPO法人Fineのアンケート調査では、「治療費をどのように捻出しているか?」も調査しています。

その結果は、

  • 夫婦の収入 864人(58%)
  • 貯金 660人(44%)
  • 夫のみの収入 273人(18%)
  • 妻のみの収入 223人(15%)
  • 親族や友人から借りている 84人(6%)
  • 金融機関等から借りている 24人(4%)
  • その他 55人(4%)          

N=1,497人(複数選択)/1,576人

夫婦の収入が治療費のベースであることは予想通りですが、貯金を切り崩して治療費に当てている人が全体の半数近くいることが分かります。

フリーコメントのなかには、

  • 体外受精にステップアップするのに費用がかかるため、一年治療を休んで夫婦で貯金した。その間も年はとるので悩ましい。
  • 治療のために正社員を辞めて治療に専念していたが、今まさに経済的理由により中断している。

という声もみられました。

経済的負担が心配で治療に踏み切れない人も

NPO法人Fineのアンケート調査では、不妊治療経験のある方だけではなく、不妊を心配したことのあるすべての方を対象としています。

“不妊を心配しているが治療をしたことはない”という方にその理由を尋ねてみると、最も多い理由が「経済的な負担が心配だから」 という結果でした。

また、治療経験者の2人に1人が、経済的な理由で治療のステップアップ(次の段階に進むこと)を躊躇、断念、延期したことがあると回答しています。

先に紹介した「妊活ボイス」のアンケート結果にも、不妊治療の料金が安ければ、「もっと早く治療に進んだ」という声がありましたが、治療費の高さは、治療をスムーズの進めるえで大きな障害になっていることが浮き彫りになっています。

【アンケート調査引用元】
NPO法人Fine(ファイン)
詳細版「不妊治療と経済的負担に関するアンケート 2018」結果(pdf)

日本は「生みたい人が生めない社会」なのか?

5組に1組の夫婦は不妊に悩んでいる

日本で不妊症に悩む夫婦は5.5組に1組。

2016年に生まれた子の約18人に1人が、体外受精や顕微授精などの生殖補助医療によって誕生しているそうです。

不妊が、もはや個人の問題ではなく社会の問題と考えると、いまの日本は、女性にとって不妊治療を受けやすい社会なの?と考えてしまいます。
(もっと根本的なところでは、不妊治療を受けずにすむ社会が理想ではありますが…)

子どもを授かることができずに不妊治療を受けようと決意しても、お金がかかり過ぎる…。

その上、仕事との両立も難しい…。

お金があるから不妊治療をしているわけではない

以前、「不妊治療を受けている人はお金があるよね」という会話を耳にしたことがあります。

しかし、先のアンケート結果を見ると、決して「お金があるから不妊治療をしている」わけではありません。

やむを得ず、貯金を切り崩して治療する人もいれば、そもそも治療を断念・延期する人だっている。

お金があるから治療している訳ではなく、ほかに方法がないからやむを得ず治療しているわけです。

わたし自身も、総額約400万円という高額な不妊治療費を払った一人です。

治療のために仕事も減らし、収入が減り、わたしの収入は、そのまま治療費として右から左へ消えていく日々でした。

助成金で補助された金額(90万円)は、自己負担額(約300万円)を大きく下回りました。

先日のテレビ番組で、政治家・枝野幸男氏の妻・和子さんが、ご自身の不妊治療について告白されたことが話題になっています。

和子さんが、はじめてテレビにご出演されて伝えようとしたことは、「もっと不妊治療を受けやすい社会になれば…」ということ。

このような声がもっと社会に広まれば…と思います。

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