出産経験があっても不育症になることはある
出産経験があれば不育症とは無縁のように思えますが、実際には、出産経験があっても不育症であることがあります。
それには、2つのケースがあります。
もともと不育症のリスク因子を持っているケース
不育症には、流産につながるたくさんの原因がありますが、「これがあると100%流産します」という原因は実はないのだそうです。
そのために、「原因」とは言わず、「リスク因子」という表現を使います。
母親が、もともと不育症のリスク因子を持っていたとしても、それをすり抜けて産まれてくることもあります。
そういう方の場合、次の妊娠で流産を繰り返してしまい、そのときはじめて「不育症だったのか」と分かることもあります。
出産をきっかけに不育症になるケース
妊娠・分娩が引き金となり、不育症になることもあるそうです。
わたしが検査でひっかかった抗第Ⅻ因子抗体も、一人目の出産をきっかけにできた可能性があると言われました。
出産は出血を伴いますが、大量に出血してしまうと母体の命が危険にさらされます。
その出血から母体を守るために、妊娠時はそうでないときの何倍も血が固まりやすくなるそうです。
そういった体のしくみが、関係しているのかもしれません。
「1人産んだ」という思いが検査を遅らせた
わたしは、1人目の出産後にはじめての流産を経験し、その後、立て続けに流産しました。
3回続けて流産したところで不育症の検査を受けましたが、
この時点でもまだ、
「1人出産しているのだし、流産が続いたのは年齢のせいでは…?」
と心の底では思っていました。
そんな気持ちがあったせいか、不育症の病院に通うのは大袈裟な気がして、最初の検査は、通院中の不妊クリニックで血液検査だけを行いました。
それで、血液凝固異常(プロテインS欠乏)が疑われて、血栓を予防するために低用量アスピリン療法(バファリンの服用)を開始しました。
ところが、次の妊娠も流産。
ここでやっと、不育症の病院へ行くことを決めました。
検査では、別のリスク因子(抗第Ⅻ因子抗体)が疑われたものの、グレーな判定結果だったため、治療法はこれまでと同じで問題ないという結論に。
しかし、また流産。
低用量アスピリン療法だけでは流産を防げなかったことで、ヘパリン注射を追加。
ようやく、出産までたどり着くことができました。
もっと早く不育症の病院に言っていれば、
流産の回数は1回くらい減っていたかもしれません。
血液検査も二重に受けずに済んだはずです。
不育症の人なんて周りにあまり聞かないし、
一度は出産できているし、
「不育症?まさか」という気持ちがずっとあったことが、
行動を遅らせたなと思います。
不育症であってもなくても偶発的な流産は起こります。
わたしは流産した胎児の染色体検査を受けなかったので、5回の流産のうち、どれが母体に原因があり、どれが胎児側の問題なのかを今更調べることはできません。
それでも、不育症の検査を受けて、何らかの疑わしい原因が見つかったことで、「謎の流産」に理由があったことが分かり、不安が払拭されました。
時間はかかったけど、原因をみつけて対策(治療)をすることは、心の平穏にも繋がると、つくづく思った体験でした。
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