働きながら不妊治療していて、自分でも想定外だったことがあります。
それは、いつの間にか、不妊治療が働くことへのモチベーションになっていたことです。
両立に悩んでいたつもりが、一方では、不妊治療を続けている現実があったおかげで、仕事も頑張れていたという、なんだか矛盾しているような、今回はそんなお話です。
治療の卒業を考え出したら、働く意欲まで低下した
41歳の秋。
凍結胚の胚移植が4回連続で陰性に終わりました。
自分の妊娠力の限界を感じ、
「そろそろ治療のやめどきか」
「もう十分頑張ったかな。このへんが治療卒業のタイミングなのかな」
と自然と考えるようになったのですが…。
そう思うようになった途端、同時に働くことへの意欲も下がってしまいました。
その時はじめて、
「この数年間は、二人目を授かることを目標に生活してきて、それが働くためのモチベーション維持にもなっていた」
という事実に気づきました。
不妊治療をやめること。
それは、わたしの場合、二人目を諦めることにほかなりません。
だから、不妊治療をやめることは、わたし自身の人生の目標を、ひとつ諦めることを意味します。
そこにあるのは、喪失感や虚無感…。
「不妊治療がなければ、もっとキャリアを積めた」
「わたしは不妊治療と仕事の両立に苦労している」
とばかり思っていたけど、いつの間にか、不妊治療をしていることで、仕事も頑張れていたという事実。
不妊治療と仕事は、車の両輪のような関係になっていたのです。
不妊治療は確かに辛いことが多いのですが、一方で、不妊治療を受けて、子どもを授かるという人生の目標に対して積極的に行動している状態は、わたしにとっての希望でもあったのかもしれません。
働く意欲の低下が、妊娠にプラスに働いた?
そんな状態で正月休みに入ったものだから、年が明けても仕事に戻る気分になれず、
「もっと休んでたいなぁ~」
と、仕事へのモチベーションが上がらない日が続きました。
いつものわたしなら、
「そろそろ働かないと、仕事たまっちまう~」
と思ったりするのですが。
そのとき、わたしはこう思いました。
「あ、やっと心と体がゆるまってきたな」
ずっと、仕事に治療に、脳みそが常に戦闘態勢でした。
それが、あらかじめ仕事のペースを落としておいたこととか、卒業(授からなかったら仕方がないという諦め)を意識しはじめたことで、ゆるんできた、力が抜けてきた。
実は、それが妊娠にはすっごく重要なんだと思います。
仕事モードの戦闘態勢は、気をはって、心も体もに緊張しているような状態かと。
でも、妊娠したいなら、もっとリラックスして体を楽にゆるめておかないといけない。
本来、そのくらいの方が、妊娠にはいいんだと思います。
仕事脳と、妊娠脳って真逆。
だから、不妊治療と仕事を両立するときには、心のバランスがとても重要。
わたしはやっと、脳みそがゆるまってきた。
「頑張る」という感覚から、抜け出た感じです。
やっと、体の声を聴けるようになった。
そんなふうに感じていたところ、年明けに行った5回目の胚移植で妊娠。
なんの根拠もなかったけれど、わたしの感じてきた感覚は、案外当たっていたかもしれないと思いました。
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