不妊治療中は、ずっと頑張っている状態
不妊治療と向き合っている間は、自分では気づかなくても常に頑張っている状態だと思います。
基礎体温をつけたり、欠かさず薬を飲んだり、食生活に気をつけたり、ウォーキングを日課にしたり、体が冷えないよう気を使ったり、アルコールやカフェインを控えたり…。
仕事と治療を両立している人なら尚更。
わたしは、いかに仕事の合間をぬって通院時間を確保するかで、いつも頭を悩ませていました。カレンダーとにらめっこしながら「今日が生理3日目なら、きっと移植日はこの週の…」という具合に。「こんなことで頭使いたくない~!」と叫びたいくらい骨が折れました。
しかし、こうやって頑張ったからといって、必ずしも結果に結びつかないのが不妊治療の辛いところ。生理がきてしまうと、いままでの頑張りがすべて無駄に終わったようで虚しくなります。
そんなことが1回でも落ち込むのに、2回、3回と繰り返すうちに、心がボロボロになってしまうことってないでしょうか。
「わたし、疲れてるな」という気づき
わたしが9年間の不妊治療でもっとも辛かった時期は、4回目の流産を経験したあとでした。
不育症の治療もはじめ、切迫流産中もしっかり安静にして、これ以上ないくらい気を使って過ごしたのに、10週で心拍が停止してしまいました。
これは現実なんだけど、どこか実感がわかないところがあり…。
でも現にお腹にはもう赤ちゃんはいないわけで…。
自分の身に起こったことをうまく整理できず、思考が停止したような状態でした。
途方に暮れるとは、まさにこのこと…。
そんな状態ではありましたが、幸いだったのが
「いまのわたしは疲れているな」
と自覚できたことです。
いつものわたしなら、流産して落ち込んでも「授かりたいなら前に進まないと」と、とにかく「次どうするか」をすぐに考えてはじめてました。
でもこのときは、自分がこれから、どっちに進めばよいのか考えることもできませんでした。だから、
「いま、先のことを考えるのはやめよう」
「いまは決めなくていい、休もう」
と自分に言い聞かせました。
カフェでまったり読書したり、近場の温泉で一泊したり、公園に散歩にいって緑をたくさん感じたりといった、治療と無縁の「無」の時間を過ごしました。
目の前にある日常にできるだけ感謝する日々を過ごすようにしてみました。
(先のことを考えるのを拒絶していたので、案外目の前のことに集中できました)
こうしたなにげない時間を過ごしていくなかで、
「まだ諦めないのなら、とりあえず前には進まないと」と思えるまでに心が回復したのでした。
たまに自分を俯瞰してみる
不妊治療は、頑張った分期待もするから、期待を裏切られると落ち込みます。期待しては落ち込んで、期待しては落ち込んで…そんな日々を何ヵ月も送っていれば、そりゃあ心は疲れると思います。
妊娠のために考えた体にいい生活も、「こうすべき」「ああすべき」というものを作りすぎると、結局リラックスできない毎日になってしまいます。
そうならないために、たまに自分を少し俯瞰するように見つめて、心がちゃんとリラックスできているかどうか振り返ってみるといいです。
もし、妊活として取り組んでいること(ウォーキングとかサプリメントとか)が、楽しくなくなったり苦痛になったりしたら、
「あぁ、いまは、ちょっと疲れがたまっているのかも」
と感じてみるとよいと思います。
心の疲れに気づくこと。
これが、とても大切だと思いました。
自分の疲れに気づかないで走り続けると、心や体は致命的なダメージを受けて、それこそ治療を継続できない状態になってしまうかもしれません。
治療中にはさまざまな心の波があって当然ですが、そのなかで心の疲れを自覚すること、それに気づいたら休むことは、妊娠を望むわたしたちにはとても大切なことなんだと思います。
スポーツや勉強なんかと違って、「こんなことでめげる自分はダメ」だなんて思う必要はまったく無用。まずは心を回復させるために、ゆったりと好きな時間を過ごしてみるとよいと思います。
行動はしても頭を使いすぎない
わたしは心配性だし、慎重に行動するタイプなので、なんでも考えすぎてしまうところがあります。
不妊治療中もそんな性分は変わらず、ひとつひとつ心配して、あれこれ考えてばかりいました。自ら疲れをしょい込むというか、心に疲れを貯めこみやすいタイプだと思います。
でもいろいろ経験してみて思うのは、「妊娠したいなら、頭は使いすぎないほうがいい」ということです。
妊活中は、7割くらい頑張れればそれでいい、あとの3割はゆとりを持っておく。
その方が、体にそなわっている妊娠力を発揮しやすいような気がします。
不妊治療中は、ただでさえやることがたくさんあります。
通院したり、薬を飲んだり、基礎体温を付けたり。
そのうえ、頭のなかまで
「あれもしておかないと」「これはよくない…」と自分を縛ったり、
「なぜ授からないのだろう」という解けない疑問をめぐらせたりしていては、心が休まりません。
次々と襲ってくる不安な気持ち、辛い気持ちは、神さま仏さまにお預けしてみるという発想が、わたしが行き着いたやり過ごし方でした。
そうして不安を心から追い払って、いまこの瞬間は、目の前にあることを存分に楽しむことに集中する。
肩の力を抜いて、心も体もゆるめるようにリラックスできていたほうが、きっとプラスに働きます。
理屈ではない、カラダの声に耳をすませるといいと思います。
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