こんにちは。不妊・流産・不育症経験者の やまだ ひまわりと申します。
わたしのブログでは、望まぬ現実(不妊・流産…)に直面したときに、いかに心おだやかに過ごすかを実体験をもとに書いています。
「不妊治療をしていて、気付けば40代」
そういう方も多いのではないでしょうか。
そして、「これからの人生を、自分はどう生きていこうか」と考えたりします。
これは、結果として子どもに恵まれた方も、恵まれなかった方も、多くの方に共通する思考。
なぜなら、子宝に恵まれても恵まれなくても、長い期間を不妊治療に費やすことで、心身も時間も消耗してしまうからです。
今回は、そんなアフター不妊治療を過ごす方に向けて書きました。
年齢との戦いだった不妊治療時代
わたし自身の不妊治療を少し振り返ります。
わたしは33歳~42歳まで不妊治療をしていました。
当然ながら子どもがほしいから不妊治療をしているわけですが、「わたしの30代、これでいいのか?」と考えない日はありませんでした。
こんなに不妊治療期間が長くなるなんて思わなかったのです。
30代という気力も体力も充実した時期にやりたいことは、ほかにもたくさんありました。
長男を36歳で出産したあと、38歳で再開した凍結胚移植で再び妊娠できたときは、「あぁ、これで再び自分の人生を歩める!」と思ったものです。
ここでいう”自分の人生”とは、不妊治療を卒業して、大多数の女性と同じように子育てしながら働く人生。
不妊治療によりストップしてしまった自分のキャリア形成を再スタートできると思いました。
しかし、陽性反応から1月たたずに流産し、その後は妊娠しては流産の繰り返し。切迫流産による安静生活と不育症治療も並行しながら、わたしの30代は終わっていきました。
40代の子育てで直面する体力低下と更年期障害
「そろそろ不妊治療に幕を下ろす時期かも…」と背水の陣で挑んだ胚移植で陽性が出て、不育症治療の甲斐もあって次男が生まれました。
現在のわたしは、小2の長男、2歳の次男を保育園に通わせながら、時短勤務で働いています。
個人差はあるのでしょうが、わたしの場合、体力的にギリギリです。
「不妊治療と仕事の両立が出来たのだから、子育てと仕事の両立なんて余裕」と思っていたのが大間違いでした。
産後、ちょっとしたことですぐ風邪をひくようになりました。風邪のたびに妊娠中に発症した咳喘息がぶり返し、咳が出ないよう薬が欠かせません(コロナ下はなお気を使います)。
おまけに更年期障害のような症状がはじまし、吐き気が出たり、息切れしやすくなったり。
平日は定時に職場を飛び出して次男、長男を迎えに行き、夕食、風呂、学校と保育園の翌日の準備をするわけですが、まだまだ手のかかる次男を前に力尽き、テレビを観せている間にこっそり寝室で横になったりしています。
仕事の方はというと、同世代が管理職になっていくなか、わたしは入社7年目にしていまだ契約社員。
それなりの仕事を任せてもらえてはいるけれど、フルタイムで働けない、会議の日に子どもの病気で休んでしまうことも多く、大きな責任を負う立場になることは自分でも躊躇してしまいます。
職場の先輩ママからは「いまは子ども優先がいいよ。あっという間に大きくなるんだから!」と励まされるものの。「そうれはそうだけど、もう40代半ばだし…」と晩婚、高齢出産の自分を悔やむのでした。
そんな日々を送るなかで、わたしのハートをつかんだ言葉がコレでした。
「40代は適齢期」。
「40代は適齢期」ってどういうこと?
わたしがこの言葉に出合ったのは、新聞の人生相談欄でした。
相談者は、持病から結婚、出産を諦めた(そう自分に言い聞かせてきた)40代会社員女性で、これからの自分の生き方について相談されていました。
この相談に対する評論家からの回答の一節がこちらです。
これから長いあなたの人生で、ご自分の人生を仕切りなおす適齢期は40代です。生涯活躍が求められる時代に「これが私の得意技」と言えるものを持つ、円熟した中年女性になるスタートラインについてください。
2021.1.21読売新聞「人生案内」
40代が適齢期なんて、思ってもみませんでした。
結婚・出産の適齢期は20代~30代だし、仕事なんて、もっと手前の新卒時代の就職活動や入った会社の規模が、その後の人生に大きく影響を与えることはいまだに既成事実です。
40代になってしまうと、成功した人はますます飛躍できるし、そうでなかった人は、限られた人生パスを粛々と歩むしかないような気がしていました。
いや、本当は何歳からでもチャレンジできることは知っているのだけど、行動を起こす覚悟がもてないことを年齢のせいにしているだけかもしれません。
しかし、実は人生を仕切りなおす適齢期は40代。
この言葉は、つい言い訳してしまうわたしの背中をポンと押してくれたようでした。
振り返ってみると、「人生100年時代。40代は折り返し地点」とうい言葉もよく耳にするようになりました。
おそらく、わたし自身が40代になって、そういった言葉が入ってきやすくなったという自分自身の変化がひとつ。
もうひとつは、終身雇用の時代だったのが、何歳からでも学び直して再チャレンジが出来る時代に変化しつつあり、実際、40代、50代からセカンドキャリアを歩む人も増えつつあるという時代の変化があること。
2つの変化が身近にあったのだと思いました。
本来の自分を生き直せる40代
“価値観”というものは、家族や社会の影響を多分に受けながら出来上がっていくものです。
わたしも、「親の考え、価値観、言い分」と、「自分の考え、価値観、言い分」の境目がわからないまま成長してきたと思います。
親から譲り受けた価値観に「あれ?」と思うようになったのは親元を離れてから。
未熟なまま社会に出て、「わたしはこんな風に育ってきたけど、社会で求められているものは何か違うし、わたしの価値観も違うような気がする…」。混乱のなか、摂食障害になってしまった時期もありました。食べては吐いてを繰り返していた20代は、親離れの時期だったのかなといま振り返って思います。
すると40代は、親の庇護を脱して自分の頭で考えるようになってから、だいたい20年。
やっと自分を生き直せる地点にたったのかもしれません。
80代の女性から学ぶこと
30代の頃に読んで、とても感銘を受けた本のことを思い出しました。
『ニッポン・ビューティ 本物の女たちの 美しい生き方』
いろいろな業界で活躍されている80代の女性たちが、人生で学んだことを語っている本です。1冊に詰まった約1600歳分の生きる知恵。
読んでいると、「自分なんて、まだまだ赤ちゃんだな」と思ってしまうような本です。
不妊治療は、心も体力も時間も消耗します。
わたしは幸い子どもに恵まれることができたので、その苦労は帳消しになったかと思っていたのですが、そうでもなかった。
“負債”といういい方はしたくないですが、年齢の分だけ体力も落ちたし、やっぱり多くの時間を費やしたな、、、と思います。
そして、「体力」とか「健康状態」というものが、思った以上に心の在り方に影響を与えるのだということを痛感しています。
だからこそ、いまの自分より年上の女性の生き方が気になり励まされるのだと思います。
不妊治療をしていて、気付けば40代という方は珍しくありません。
でもいま、わたちたちは適齢期。
なんだってはじめられる。
円熟した中年女性をめざせるのは、わたしたちのような痛みの分かる女性かもしれません。
きっと、これからも大丈夫です。
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