新聞の人生相談コーナーに、こんな悩みが寄せられていました。
二人目の不妊治療の出遅れを後悔しています。
40代になって体外受精を試みたけど成功しません。
「もっと早く不妊治療を始めていたらうまくいっていたのでは…」
と悔しい気持ちを抑えられません。
同年代で子どもが二人いる人を見るとうらやましくて仕方がありません。
「その気持ち、よく分かりる!」
と思いました。
わたしにも、同じような気持ちで過ごした時期があったからです。
長男を36歳で出産した2年後の38歳から二人目のために不妊治療を再開しました。
それまでは、長男の世話にいっぱいいっぱいで余裕がなかったのと、
「それくらいが、ちょうどいい歳の差かな?」
と思ったのです。
ところが、二人目の不妊治療は、なぜか流産ばかり。
38歳のうちに3回流産し、39歳の1年間はバファリン(不育症予防)と漢方薬で体質改善を試みるも子宝に恵まれず、40歳で再度、採卵からスタート。顕微授精で2回妊娠するも2回とも流産。
妊娠できない日々、妊娠しても流産してしまう日々を過ごしているうちに、わたしの年齢ばかりが上がっていく…。
焦りました。
30代後半は、妊娠率が一気に低下していく時期でもあります。
たかだか2年間だけど、この2年間でわたしの妊娠力はものすごく落ちたのでは…。
実は、この2年間が妊娠するには大きなチャンスだったのでは… 。
「『2歳あけて…』と兄弟の年の差なんて考えず、いち早く治療を再開していればよかった!」
「自分は不妊症。まわりのママ達と同じように事がスムーズに進むと思っちゃいけなかったんだ!」
ひとり生んだことで、「もう自分は大丈夫」みたいな気になっていたことを後悔しました。
その時期、やっぱり二人子どもがいるお家を見かけると羨ましくて仕方がなかったです。
3人兄弟よりも、2人兄弟が気になりました。
自分が求めているものだったからでしょう。
人生相談の回答欄で、指南役の心療内科医の先生はふたつのことをおっしゃっていました。
ひとつは、なぜ、もう一人ほしいのか、まずは自分の気持ちをみつめること。
周りの人と比較しているのか?
子どもを多く育てるのが自分らしさなのか?
もうひとりいないと幸せになれないのか?
一人の子どもがいる人生は、それを「受け入れ」なければならないような境遇なのか?
もうひとつは、いま持っている幸せに気付くこと。
夫がいて、子どもがひとりいて、仕事もある生活の幸せを十分に味わっているか?
このふたつのことを自分に問い直し、そして、授かった子どもとの関わりを大切に、日々を気持ちよく生きることに焦点を当てることで、自然にすべてが変わっていく。
――そう結んでおられました。
その回答を読んだとき、わたしが自分の不妊治療を通して気付いた気持ちの持ち方と近かったので、ほっとしました。
わたし自身も、二人目不妊で辛かったときに、
「なぜ二人目を望むのか?」
と改めて考えました。
子どもを望むのは自然な心の動きだと思うので、理屈で語れるものではありません。
しかし、世間の影響をまったく受けていないかというと、そんなことはなく、世間と自分を比較している部分や、世間の考えに感化されている部分は大いにあると思いました。
なんとなく、
「ふたりいると、もっと幸せそう」
と。
だから、
「ひとりしかいない自分には、まだ手にしていない幸せがある」
と。
でも、ひとりっ子が、それを「受け入れ」なければならないような境遇かと問われると、もちろん、そんなことはありません。
そう問われて、わたしはとてもハッとしました。
自分は、
「一人の子どもがいる人生」
ではなく、
「二人目のいない人生」
ばかりを見ていたんだなと。
どちらも同じ自分の人生なのに、どんな視点をもって生きるかで、こんなにも見え方が変わるものかと。
さらに心を整理していけば、いまが決して不幸なわけではないことにも気づきます。
いまの生活のなかからも幸せの種はたくさん見つけられます。
“周りと自分”
“いまの自分と理想の自分”
無意識のうちにしている「比較」によって、いまを不幸と判断しているのは、ほかでもないわたし自身でした。
すべては、いまの幸せに焦点を当てることからはじまるということを、改めて感じた人生相談でした。
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