話すこと、聞いてもらうことで癒される ~体験記その6~

わたしの体験
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心が折れた4回目の流産

5回の流産のなかで、いちばん精神的にキツかったのは4回目でした。

不育症検査を受けて流産の原因も分かり、不育症の治療もはじめ、万全の体制で望んだ妊娠。

切迫流産にはなったけれど、自宅安静にして血腫も小さくなってきて、「今度こそ赤ちゃんに会える…!」と、ほっと胸をなでおろした後のまさかの流産。

あんなに途方に暮れた時はありませんでした。

それまでの流産のように「きっと次は大丈夫」と前を向く気になれず、 治療を続ける気力もない。かといって「もういいや」と思えるわけでもない。
これまでの人生でいちばん虚無感に襲われた出来事だったかもしれません。

これからどうしよう……。

流産は悲しくて当たり前

そんなとき、あるイベントが目に留まりました。

夫婦の困難 どう乗り越える?
流産・死産を乗り越えて ~当事者の立場から・支援者の立場から~

一般社団法人 MoLive(モリーヴ)さんが開催されたイベントでした。

イベントの内容は、 流産や死産を体験した経験者や専門家による講演と、経験者同士のお話し会。
いままでネット上でもリアルでも、経験者同士のコミュニティのようなものとはつながったことはなかったのですが、どうにも自分だけでは抱えきれない現実を前に、無気力な自分を奮い立たせて参加しました。

「同じ経験をした人がこんなにもいる」
「もっと辛い経験をした人もいる」
「悲しいことは当然なんだ」
そう思えたことは、当時の私にとって大きな癒しになりました。

私はどこかで
「はやく立ち直らなきゃいけない…」
と思っていた節がありました。
でも、イベントに出たことで、
「どんなに時間が経っても、 そのことを思い出せば悲しいんだ。それでいいんだ」
と悲しみを引きずりそうな自分を受け入れられた気がします。

話すことで心が軽くなった

「悲しみを癒すには話すことが大切」と聞いたことがありましたが、その通りでした。
自分の体験や心情を言葉にして聞いてもらうと、気持ちが楽になりました。
聞いてくれる相手が知らない人というのが、なおさら良いのかもしれません。

流産・死産の経験は、なかなか人に話す機会がありません。
パートナーや親など、事情を知っている身内にさえ話しにくいものです。
身内だからこそ、 悲しませたくない、迷惑をかけたくないと心にブレーキがかかるのかもしれません。

イベントに参加したことで、自分の心の中にあった重たいものを、ひとつ置いてこれたような気がしました(心が少し軽くなりました)。

立ち直れたわけではないし、辛さも不安も変わらずあるけど、まだ諦めないのなら先には進まないといけない。だから治療だけは続けよう。

なんとか、そこまで思うことができました。

一歩前に進むための、大きなきっかけになりました。

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